現在パワースポットとして人気となっています、当山・気客殿前のシンパク(樹齢500年以上)を日頃から愛していた住職でしたが、ある時、茶道具として使用出来ないかと考えました。
そして、強風が吹いた日の翌日のこと、庭の掃除をしに出た住職はシンパクの根元にその枝が横たわっているのを見つけました。
それは、あたかも天から舞い降りてきた龍の姿のようで、シンパクが住職の願いを実現するために、自分の身を折ってまで茶道具として使うようにと思ったに違いないと、住職は恐れ多くも、また有難く、報恩感謝の念を抱きました。
仏教には「捨身」という言葉があり、仏に供養し、また他者を救うために我が身を捨てて布施するという意味です。
シンパクの今回の行為は、まさしく、これにあたるのでしょう。
以来、住職はこの枝に「天龍」と銘を付けて、茶道具の風炉先として愛用するとともに、寺宝として以来ずっと大切に守っています。